電磁波シールドをプラスチックめっきで!高いシールド効果と軽量化を実現する技術を紹介

事例 ECU ケース

【電磁波シールド】プラスチックめっきによる電磁波ノイズ対策をご紹介

電磁波シールド(プラスチックめっき)は塚田理研にご相談ください!

電子機器は製品の性能向上、軽量化等を目的に、金属部品のプラスチックへの置き換えが進んでいます。

金属からの置き換えが進んでいる代表的な例として、自動車産業が挙げられます。自動車の分野では、部品を金属からプラスチックに置き換えることにより軽量化を進め、それに伴い燃費の改善に取り組んでいます。性能の向上や軽量化以外にも、プラスチックは金属と比べるとコストが低いため、製造コストの削減という面でもメリットがあると言えるでしょう。

しかし、金属からの置き換えによって起こる問題が「電磁波ノイズによる干渉」です。
電子機器から発生した電磁波ノイズが、他の電子機器に干渉し誤動作を引き起こす原因となるのです。金属はこの電磁波ノイズを遮断できる性質がありますが、プラスチックは絶縁体のため電磁波ノイズを遮断することができません。

このため、金属製の部品からプラスチックに置き換える際は、プラスチックに電磁波シールド対策を施す必要があります。

プラスチック 表面処理

今回のコラムでは、代表的な電磁波シールド対策「電磁波シールドめっき」について、プラスチックめっきの塚田理研が解説します。電磁波シールド対策をご検討中の方、ご興味をお持ちの方のご参考にして頂けますと幸いです。

電磁波シールドめっきとは

電磁波シールドめっきは、プラスチックなど電磁波ノイズを遮断できない素材に対し、電磁波シールド効果を付与するめっき技術です。現在、電磁波を遮断するシールド材や方法は様々ですが、その中でも電磁波シールドめっきは代表的なシールド方法と言えるでしょう。

めっきとは、製品を金属の膜で覆う表面処理の事です。似ている表面処理に塗装がありますが、めっきは塗料ではなく金属で覆うので、金属と同等の機能(耐摩耗性、放熱性、耐食性等)を得ることができます。

めっきには様々な種類がありますが、プラスチックに電磁波シールドめっきをする場合は、めっき液の還元反応を利用した「無電解めっき」を利用します。

表面処理 無電解めっき

この無電解めっきによる電磁波シールドめっきは、プラスチックに金属同等のシールド効果を付与する技術として、自動車部品や医療機器など、幅広い電子機器で使われています。

ここでは、無電解めっきの特徴や当社の電磁波シールドめっきの効果(電磁波シールド効果)についてご紹介します。

均一な膜厚で入り組んだ形状へのめっきも可能

電磁波シールドめっきは、前述の通り無電解めっきによって加工します。無電解めっきは、プラスチックなどの絶縁体に適用できる以外にも、様々な特徴(メリット)があります。

■無電解めっきの特徴
・均一な厚さで成膜できる
・複雑な形状も加工可能
・膜厚の調整が可能

無電解めっきについて、こちらの記事でも詳しく解説しております。是非ご覧ください。

無電解ニッケルめっきの特徴とは?種類や用途、メリットを徹底解析

複雑な形状にも加工ができるので、軽量化を実現すると同時に筒状など複雑な形状の部品にも加工する事ができます。形状を問わないので、幅広い部品に加工することが可能です。

■プラスチック製のコネクター部分への電磁波シールドめっき(事例)

事例

電磁波の遮蔽性について

プラスチックへの電磁波シールドめっきの遮蔽性は高く、30MHz-6GHzの周波数帯において、電磁波シールドめっきをした部品は金属と同程度のシールド効果があります。

以下は当社で実施したKEC法による測定結果です。
(100KHz-1GHzの範囲で、ダイキャストとプラスチック(PBT GF30)を比較)

■電界
電界

■磁界
磁界

■電磁界(1GHz-6GHz)
電磁界

図の通り、プラスチックに無電解めっきを施すと高いシールド効果が得られます。

当社では以下のようなプラスチックで電磁波シールドめっきを行うことができます。

【加工可能なプラスチック例】
・ポリプロピレン
・PETガラス強化
・PPS
・ABS(ABS/PC)
・ポリエステル繊維など
・ポリエーテルイミドや液晶ポリマー
・PBT

上記以外のプラスチックでも、評価やテストを行っております。また、新素材への電磁波シールドめっきの測定につきましても対応しております。詳細につきましてはお問い合わせください。

用途に応じた樹脂へのめっきが可能

電磁波シールドめっきを施したプラスチック製の部品は、電磁波シールドの効果だけでなく、製品の用途や使用環境に耐える必要もあります。

例えば、自動車内部のような、振動があり、尚且つ高温の環境下での使用が想定される場合には汎用樹脂(ABS樹脂など)は耐えられません。このため、エンプラやスーパーエンプラなどの特殊な機能を持つプラスチックを利用する必要があります。

しかし、この特殊なプラスチックは通常のめっきプロセスでは加工できない「難めっき材」であるため、加工できるメーカーは限られています。

塚田理研はこのような特殊なプラスチックへの電磁波シールドめっき加工にも対応しておりますのでご相談頂けます。エンプラ等のめっきの設備は国内最大規模を誇っており、量産につきましてもご相談頂けます。

■難素材への電磁波シールドめっき(事例)
事例

用途や使用環境などご相談頂ければ、最適なプラスチックをご提案する事も可能ですので、お気軽にご相談ください。

なお樹脂めっき加工の基本知識や種類については下記記事で解説しておりますので、あわせてご覧ください。
樹脂めっき加工の基本知識・種類・技術について詳しくはこちら

めっき以外の電磁波の方法(導電性塗料、導電性樹脂、フィルム)

めっき以外にも、電磁波の干渉を防ぐための様々な方法と材料があります。

主なシールド材として導電性塗料、導電性樹脂、そして導電性フィルムがあります。

種類 概要
導電性塗料 金属粉末や炭素などの導電性の粒子を含んだ塗料。
導電性樹脂 樹脂に導電性の粒子を混ぜ合わせた材料。この樹脂を使用して成形された部品は、そのまま電磁波シールドの機能を持つ。
導電性フィルム 金属粉末を分散させたフィルム。凹凸の加工品に使用でき、曲げにも強い。

こちらのコラムでは、これらシールド材の詳細や、電磁波シールドの市場の動向など解説していますので是非ご覧ください。

【電磁波の遮断】素材やシールド方法(選択肢)について解説します

プラスチックの電磁波シールド対策は塚田理研にご相談ください

プラスチックの電磁波シールド対策はプラスチックめっきの塚田理研にご相談ください。

今回は、プラスチックへの電磁波シールド対策として、プラスチックめっきをご紹介しました。近年、IoTデバイスの増加、5Gの普及により、これまでよりも幅広い周波数帯のノイズ対策が求められています。

塚田理研は、様々な用途や周波数帯に対応するシールドめっき技術を提供しております。電子機器における電磁波ノイズの課題にめっきで対応すべく、当社の専門技術開発チームは新技術や応用の研究開発にも力を入れております。

電磁波シールド目的だけでなく、その他の機能や加飾目的のめっきのご相談も承りますので、プラスチックのめっきの事でお困りの事がありましたらお気軽に塚田理研までご相談ください。

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