ECUのノイズ対策は喫緊の課題です
ECUのノイズ対策と放熱対策は、将来的にさらに重要性を増していくことが予想されます。
昨今の自動車産業では、EV車(電気自動車)や自動運転など、技術の進化や車載部品の性能向上が急速に進んでいます。特にECU(エンジンコントロールユニット)は、自動車の「頭脳」とも言われている部品であり、ECUの動作は車の性能、安全性に繋がっています。
しかし、自動車に搭載されている機器が増え、発する周波数帯も低周波数から高周波数と幅広いため、ECUを含む電子部品から発せられる電磁波ノイズ、または外部からの電磁波ノイズによる干渉を防ぐ必要があります。
急速に発展する自動車の技術に対応するためにも、自動車の安全、信頼性を高めるECUへのEMC対策は急務と言えるでしょう。
今回は、自動車の車載部品ECUの電磁波ノイズ対策について、ノイズ対策(EMC対策)の基本的な知識や、重要性、そして電磁波シールドめっきについて、塚田理研がご紹介いたします。
電磁波ノイズ対策(EMC対策)とは
最初に、「電磁波ノイズ対策(EMC対策)とはそもそもどういうものなのか」ということについてご紹介しましょう。
電子機器は電磁波(電波)という電界と磁界の波を発しており、この電磁波の中に含まれる「不要な信号」のことを電磁波ノイズと呼びます。電磁波ノイズは電子機器に干渉し、不具合やトラブルの原因となるため、対策をしなくてはなりません。
電磁波ノイズ対策には以下の3つの種類があります。
EMI対策 | EMIは電磁障害を意味しています。「ノイズを出させない対策」を指します。 |
EMS対策 | EMSは電磁感受性を意味し、EMS対策は外部からの影響を受けないためのノイズ対策を指します。 |
EMC対策 | EMCは電磁両立性を意味します。EMI、EMS対策が両立したノイズ対策を指します。 |
自動車にはECUをはじめ、多数の電子機器が搭載されているので、他の機器に干渉しない、また干渉されにくい設計を行い、安定して動作する環境を作る事が重要です。
ノイズ対策として最適な素材は金属が挙げられますが、金属は重量があるため、導電性を付与したプラスチック製品や技術が多く使われています。(めっき、導電性塗料、導電性樹脂、導電性フィルム等)
こちらの記事ではノイズ対策として使われているシールド方法やシールド材について解説しています。是非こちらもご覧ください。
表面処理で電磁波ノイズ対策!電磁波シールドめっきや塗装による対策を紹介します
ECUのノイズ対策の重要性について
ECUへのノイズ対策は重要です。
ECU(エンジンコントロールユニット)とは、自動車のエンジンやライトなど、様々な機能を制御する役割を担う電子コンピューターのことで、一般的な自動車であれば50から80個、車によっては更にたくさんのECUが組み込まれています。
冒頭でも触れた通り、ECUは自動車の動作をコントロールする、いわば”自動車の頭脳”であるため、自動車の性能や快適性、安全性に深く関わりがある装置といえます。
ECUは自動車において非常に重要な部品と言えますが、近年自動車に搭載する電子機器は増加しており、使われている周波数帯の幅も広がってきています。ECUは過酷な電磁波環境におかれているため、技術の発展と同時にECUのノイズ対策は益々の重要課題となっています。
塚田理研はECUのノイズ対策をめっきで実現いたします
塚田理研は、電磁波シールドめっきにてECUをはじめとする電子部品のノイズ対策を実現いたします。
自動車におけるノイズ対策は、これまで金属部品を使用してきました。金属は電磁波を反射・減衰させられる性質がある一方で、重量があるため製品が重くなってしまうデメリットがあります。
車載ECUも、ハウジングとしてアルミや銅などの金属を使用するのが一般的でした。これらの金属は導電性・熱伝導性に優れているためノイズ対策、熱対策ともに優れた効果がありますが、重量とコストにおいて課題があります。
自動車が重いと使用する際に多くのエネルギーを使わなくてはならないため、燃費改善のために自動車の軽量化が求められます。こうした製品の軽量化による燃費改善を目的に、自動車で使われる部品は重い金属から軽いプラスチックへと置き換えが進んでいます。
しかし、電磁波シールドを目的としてきた部品(ハウジングなど)をプラスチックに変更する場合、プラスチックには電磁波を遮断できる性質はないため、何らかの方法で導電性を付与し、ノイズ対策をする必要があります。
近年はノイズ対策としてプラスチックを基材とした様々なシールド材や方法がありますが、塚田理研では「電磁波シールドめっき」技術を提供しております。
ここでは、当社の電磁波シールドめっきについて詳しくご紹介します。
電磁波シールドめっきとは
めっきとは製品を金属の膜で覆う表面処理のひとつです。
電磁波シールドめっきはめっき技術によって、プラスチック製品に金属とほとんど変わらないシールド効果を付与する事ができます。
電磁波シールドめっきの詳しい特徴や効果は下記のページをご覧ください。
無電解めっきは薄く均一な膜厚でめっきがつけられる特徴があるので、寸法精度が要求される 部品にも適しており、電気を使わないため複雑な形状にも加工が可能です。
ECUハウジングをプラスチックに変更する場合、基材となるプラスチックは高温に耐える必要があります。ECUが搭載されるエンジンルームは100℃以上の高温となり、湿度や振動もあるため、基材には特殊な機能を持つプラスチック(エンプラ・スーパーエンプラ等)を使用します。
しかし、これら特殊なプラスチックは一般的なめっきプロセスでは加工できないため、対応できるめっきメーカーは限られています。当社、塚田理研はエンプラやスーパーエンプラなどの特殊なプラスチックへのめっきに対応しており、設備においては国内最大規模を誇っております。
幅広いプラスチックめっきに対応しているため、お客様の様々なご要望に対応する事が可能です。また、めっき技術だけでなく、電磁波シールドめっきのノウハウもあるため、低周波数帯、高周波数帯などシールドしたい周波数にあわせためっきのご提案も可能です。
更に、樹脂メーカーとめっきメーカーとの3社共同でめっき可能なPPSコンパウンド「DIC.PPS MP-6060 BLACK」を開発しました。高強度、耐熱性、寸法安定性に優れ、複雑な形状の成形も可能です。
自動車のECUなど車載部品のプラスチック化を実現し、燃費効率化に貢献する事が可能です。詳細につきましてはお問い合わせください。
ノイズ対策だけでなく熱対策も実現
電磁波シールドめっきはノイズ対策だけでなく、放熱作用もある点も大きなメリットのひとつです。
自動車はノイズ対策だけでなく、熱対策も重要です。近年、ECUの搭載数は増えており、それに伴いECUの小型化・高密度化も進んでいます。機能も高度化し動作周波数も増加しているため、熱問題はノイズ対策に並ぶ課題と言えるでしょう。
一般的にプラスチックそのものは熱伝導性がないため、放熱効果はありません。このため、プラスチック製のハウジングに放熱のためにスリットを設けたり、金属をインサート成形するなど設計時に対策をすることが重要となります。
熱対策の設計に加え、熱伝導性の良い金属(銅等)をめっきすることで放熱効果も得ることが可能です。このように、電磁波シールドめっきはECUのノイズ対策と熱対策を両立させることも可能です。
※熱伝導性のあるプラスチックへのめっきも可能です。詳しくはお問い合わせください。
ECUの電磁波対策・放熱対策・軽量化は塚田理研にご相談ください
ECUの電磁波対策、熱対策、そしてプラスチックへの置き換えによる自動車の軽量化は塚田理研にご相談ください。長年にわたり培ってきたノウハウと経験を活かし、ECUをはじめとした自動車部品の電磁波の課題を解決いたします。
今回は自動車のECUを取り巻く電磁波問題について、またノイズ対策として電磁波シールドめっきをご紹介しました。
当社は自動車(ECU)に限らず、医療機器など他の分野の電子製品に対するシールドめっきにも実績がありますので、ノイズ対策で課題がありましたらお気軽にお問い合わせください。
当社の営業、専門の技術開発チームがお客様の課題やご要望をお伺いし、最適なノイズ対策をご提案いたします。
【お問い合わせ先】
本社:0265-82-3256
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