EMCの材料とは?シールド材や電磁波シールドめっきについて
EMCの材料についてご紹介します。電子機器から発せられる不要な信号「電磁波ノイズ」の対策は、電子機器を取り扱う各メーカーにとって急務の課題です。
電磁波ノイズは他の電子機器に干渉し、誤動作の原因となる恐れがあります。これまで電磁波ノイズ対策としてEMIやEMSなどの概念はありましたが、最近は5GやIoTなどの新たな通信システムが社会のインフラに加わり、電磁波問題の複雑化が進んでいるため、多くの電子機器でEMC対策の必要性が増しています。
EMC対策として金属以外に様々な材料(シールド材)や方法が開発されており、防ぎたい周波数帯、使用する電子機器によって、適切な材料の選択をすることが重要です。
今回はEMC対策をご検討中の方に向けて、EMC対策として使われている材料(シールド材)や、代表的なシールド方法として電磁波シールドめっきをご紹介します。
EMC(電磁両立性)とはEMIとEMSが両立している性能
最初にEMCとは何か、という事についてご説明します。
EMCとは電磁妨害(EMI)と電磁感受性(EMS)の両方の性能を両立させた性能を指します。つまり、他の電子機器が発したノイズから電子機器を守り、且つ電子機器から発生したノイズが他の機器に干渉しないようにするというものです。
近年、デジタル技術は目覚ましい発展を遂げ、センサや無線を多く使用するシステムが増えたことから、電子機器の電波環境は複雑であるといえます。製品の安全性・信頼性の確保のためにはEMIやEMSのいずれかではなく、両立させたEMC対策が重要なのです。
EMCの材料(シールド材)について
EMCの材料(シールド材)にはどのようなものがあるのでしょうか。
電磁波ノイズを遮断する材料として最も適している材料は「金属」です。金属は導電性があり、電磁波ノイズを反射・吸収する性質があります。例として、自動車のECUケースにはアルミなどの金属が使われている場合もあります。
しかし、多くの電子機器は機能性の向上を目的に軽量化をさせる動きがあるため、金属そのものは電磁波シールドの材料としては大きなデメリットとなります。
このため多くの電子機器で使われているEMC対策の材料には、軽量なプラスチックを基材とした材料(シールド材)や方法が多く選ばれています。
プラスチックそのものは不導体であるため、そのままの状態では電磁波ノイズを防ぐことはできませんが、何らかの方法で導電性を付与することで電磁波ノイズのシールド効果を得ることができ、尚且つ軽量化にも貢献します。
シールド方法や材料は下記のような種類があり、使われる場所や遮蔽したい周波数帯によって適切なものを選択します。
【EMCの材料(例)】
- 電磁波シールドめっき
- 導電性樹脂
- 導電性塗料
- 電磁波シールドフィルム
- 導電性繊維
各材料、方法について、下記のコラムでもご紹介しています。是非ご覧ください。
【電磁波の遮断】素材やシールド方法(選択肢)について解説します
※各シールド材はメーカーによって性能が異なります。詳細はメーカーにお問い合わせください。
電磁波シールドめっきはノイズ対策と熱対策の両立が可能
電磁波シールドめっきはノイズ対策(EMC対策)、熱対策と多くの電子機器が抱える課題の解決が可能な技術です。
EMC対策として、多数の材料や方法がある事をご紹介しました。その中でも電磁波シールドめっきは代表的なシールド方法であり、完成された技術と言われています。
電磁波シールドめっきとは、不導体であるプラスチックにめっき処理する事で導電性を付与し、電磁波を反射・吸収できるようにする技術です。無電解めっきにて処理を行うため、複雑な形状でも均一にめっきでき、金属と同等の高いシールド効果を与えることができます。(無電解めっき処理によって、3mmのアルミと同等のシールド効果)
以下は、金属とめっきをしたPBT(GF30)とでシールド効果を測定・比較したものです。
■電界
■磁界
■電磁界
このように、金属と変わらない高いシールド効果が得られます。また、熱対策という点においても、銅めっきを施すことによって熱伝導性を向上させ、放熱効果を得ることができるメリットもあります。
このようにEMC対策としてのめっきは、電子機器の性能を保護するだけでなく、製品の軽量化に貢献するなど多数のメリットがあるため、パソコンやスマホ、自動車の内部部品、医療機器などに使われています。
当社、塚田理研はプラスチックを専門としためっきメーカーで、EMC対策としての電磁波シールドめっきにも対応しております。汎用プラスチックへのめっき以外にも、エンプラやスーパーエンプラなどの難めっき材にも対応しており、多数の実績がございます。
EMC対策で課題がありましたら、最適なめっき方法についてご提案も可能ですので、お気軽に当社までご相談ください。
こちらの記事でもプラスチックへの電磁波ノイズから電子機器を守るシールドめっきについて詳しくご紹介しております。ぜひご覧ください。
電磁波シールドをプラスチックめっきで!高いシールド効果と軽量化を実現する技術を紹介
めっきが可能な材料について
当社でめっき可能な材料(一例)をご紹介します。
めっき可能な材料(プラスチック) |
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上記の他にも試験や評価を実施しておりますので、詳細につきましては窓口よりお問い合わせください。
また、樹脂メーカーとめっきメーカーの3社で共同開発したPPSコンパウンド「DIC.PPS MP-6060 BLACK」もございます。
「DIC.PPS MP-6060 BLACK」はめっきが可能なPPSコンパウンドで、強度・耐久性に優れているため、自動車部品などに最適です。
自動車内部のEMC対策、そして金属からの置き換えによる軽量化、燃費改善に期待できます。「DIC.PPS MP-6060 BLACK」の詳細はお気軽にお問い合わせください。
製品のEMC対策・軽量化は塚田理研にご相談ください
製品のEMC対策、そして軽量化はプラスチックめっきの塚田理研にご相談ください。
今回は、今後ますます重要性が高まるEMC対策で用いられる材料について、またその中でも代表的なシールド方法である電磁波シールドめっきについてご紹介しました。電磁波シールドめっきは優れたシールド効果に加え、熱対策や軽量化にも大きく貢献する技術です。
塚田理研は、プラスチックめっきの業界をリードするメーカーとして、お客様のご要望や製品の用途に最適なシールドめっき技術をご提案いたします。
- EMC対策を検討している
- 製品の軽量化や熱対策に課題がある
このような課題がありましたら、当社までお気軽にご相談ください。
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