無電解銅めっきとは?原理や利点について紹介
無電解銅めっきは無電解めっきの一種で、プリント基板や電磁波シールドなどの電子部品に多く使われている技術です。
プラスチックへの無電解銅めっきは、急速に成長している電子部品産業において不可欠な技術であり、産業の成熟とともにますます進化しています。
今回は、様々な産業で活躍する無電解銅めっきをテーマに、無電解銅めっきの原理や利点、用途について、プラスチックめっきメーカーの塚田理研が解説いたします。
当社のこれまで採用頂いた事例についても紹介いたしますので、是非最後までご覧ください。
無電解めっきの仕組み
無電解めっきの仕組みについて、最初に解説いたします。
無電解めっきは、溶液を使用してめっき加工を行う湿式めっきのひとつで、電気を使用せず、化学反応を利用して金属の皮膜を形成する技術です。
無電解めっきは、置換めっきと還元めっきに分類され、更に還元めっきには「非触媒型」と「自己触媒型」があります。
今回ご紹介する無電解銅めっきは、還元めっきの自己触媒型の技術に該当します。還元とは、めっき液に溶けている金属イオンが金属皮膜として析出する反応を言います。
自己触媒型のめっきとは、めっき液に含まれている還元剤に対するニッケルや銅の自己触媒作用を引き出して行われるめっき方法です。
めっきされた金属自身が、還元反応するための触媒となり、時間の経過に比例して膜厚の調整が可能です。
導電性のない素材(絶縁体)にも適用可能であり、プラスチックなどの素材にもめっき処理を行うことができます。
電気めっきとの違い
もうひとつの湿式めっきである電気めっきも、一般的によく使われている技術です。
無電解めっきとの最大の違いは「電気を使っためっき方法」であることです。
その他の違いも含め、以下の表にまとめました。
電気めっき | ・電気を利用 ・導電性のある素材のみ、加工が可能 ・膜厚にムラがでやすい ・複雑な形状にはめっきがつきにくい |
無電解めっき | ・還元反応を利用 ・絶縁体にも加工が可能 ・均一な膜厚 ・複雑な形状にも均一にめっきできる |
上記の他にも、加工後の熱処理や皮膜の物性などの違いも挙げられます。
無電解めっきは絶縁体にも加工が可能なので、プラスチック製品へのめっきには必要不可欠の技術です。
プラスチックに無電解めっきを施すことで導電性を付与し、電気めっきを行うことができるため、電気めっきの下地としての役割もあります。
無電解銅めっきの原理や利点について
無電解銅めっきの原理、そして利点(メリット)について解説いたします。
無電解銅めっきは、これまで紹介した無電解めっき(還元反応)によって行われます。
無電解銅めっきで使われる溶液には、銅塩(硫酸銅や塩化銅)、還元剤(ホルムアルデヒド)、錯化剤、pH調整剤、安定剤で構成されており、薄付け、厚付けなどの目的によって使用する錯化剤や添加物が異なります。
錯化剤は一般的に、下地目的など薄付けする場合はロッシェㇽ塩を、厚付けする場合にはEDTAを使用します。
無電解ニッケルめっきと比較すると密着性は劣りますが、最適なエッチング工法や安定剤の選定によって密着性の向上が可能です。
また、工業目的として通常、還元剤としてホルムアルデヒドを使用しますが、人体への影響や環境への問題が懸念されています。
当社では、グリオキシル酸や次亜リン酸塩、DMABなど、環境問題に対応したホルムアルデヒドフリーの試作に対応しております。
詳細につきましてはお気軽にお問い合わせください。
無電解銅めっきのメリットとデメリット
無電解銅めっきのメリットとデメリットについて紹介します。
メリット | ・電気伝導性に優れる ・かごでまとめて処理できるため生産性に優れる ・複雑な形状にも均一に加工ができる |
デメリット | ・酸化膜ができる ・厚膜化に向いていない ・電気めっきに比べ析出スピードが遅い |
無電解銅めっきのメリットは、絶縁体であるプラスチックなどの素材に導電性を付与できるという点が挙げられます。
無電解めっきの利点(均一な膜厚、形状に制限がない)に加え、膜厚の範囲も指定でき、高純度な銅皮膜の形成が可能です。
また、銅箔では基材の片面に貼り付けてシールドするのが一般的ですが、無電解銅めっきは全面に銅がつけられるため、銅箔よりも薄い膜厚でシールド効果を付与することができます。
デメリットとして、無電解銅めっきだけの場合、酸化膜ができてしまう点が挙げられます。
酸化を防止するため、一般的に保護膜として無電解ニッケルめっきを成膜する方法があり、当社でも多くご採用頂いております。
ただし無電解めっきのみの場合は意匠性がありません。意匠性が求められる場合は、電気めっきや塗装を施して意匠性を持たせることができます。
当社では塗装にも対応しており、豊富なカラーバリエーションを揃えております。
こだわりのあるデザインのめっき・塗装を得意としておりますので、高い意匠性を表現できる加工先をお探しでしたら是非一度、当社にご相談ください!
無電解銅めっきの主な用途
無電解銅めっきの主な用途について紹介いたします。
無電解銅めっきは、絶縁体への導電目的、基板へのスルーホール、ビルドアップ基板(回路形成)、電子機器の電磁波シールドなどの用途で使われています。
上記の他、導波管などにも用いられています。
当社、塚田理研では、携帯電話やノートパソコン、EVなどに搭載されている電子機器を電磁波から守る電磁波シールドめっきや、プリント基板へのめっきなど、幅広い用途のご依頼に対応いたしております。
当社の採用事例
これまでにご採用頂いた、無電解銅めっきの加工事例を紹介いたします。
■消防車のメーターパネルカバー(高周波電磁波シールド)
高周波電磁波シールドを目的として、片面シールドめっきをいたしました。
片面シールドめっきは、両面に加工した場合と比べると若干シールド効果は下がりますが、導電塗装よりも高いシールド効果があるため、しっかりと電磁波ノイズによる障害を防ぎます。
また、現在は金属で作られているその他の車載部品(バッテリーやインバーターなど)のカバーやケースなどを樹脂に置き替え、電磁波シールドめっきを施すことで、車体の軽量化と、金属からの置き換えによるコスト削減も期待できます。
金属製部品から樹脂に材質変更の詳細につきましては、お気軽にお問い合わせください。
お客様のご要望をお伺いし、最適な材質、めっきをご提案いたします。
■医療機器(高周波電磁波シールド)
内視鏡の先端に光反射目的、シールド目的として片面シールドめっきをいたしました。
当社では医療機器へのシールドめっきの加工実績が豊富にあり、得意としております。
樹脂製の医療機器・精密機械に高いシールド効果をお求めでしたら、当社にご相談ください。
■その他の採用事例について
ここでは一部の事例を紹介いたしましたが、その他も多数実績があります。
今回は無電解銅めっきの事例を紹介いたしましたが、電磁波シールドでしたら電気銅/鉄-ニッケル系合金めっきによる低周波領域のシールドめっきも可能です。
その他の事例や、対応が可能かどうかなどにつきましては、以下のフォームよりお問い合わせください。
ご要望に最適なシールドめっき、そのほか各種めっきをご紹介いたします。
無電解めっき(銅・ニッケル)のことは塚田理研にお任せください!
無電解めっき(銅・ニッケル)は、当社塚田理研にお任せください。
当社はプラスチック専門のめっき会社です。
プラスチックめっきのトップメーカーとして、お客様に喜んで頂ける高品質なめっき加工を提供いたします。
今回は無電解銅めっきについて紹介いたしました。
無電解銅めっきは、半導体など高性能な電子部品にとって今後ますます重要となる技術として、更なる技術の発展や応用に向けた研究開発もされています。
今後の発展に大きな期待が寄せられている技術といえるでしょう。
当社では無電解銅めっきはもちろん、多種多様なプラスチックめっき、塗装に対応いたしております。
製品の表面処理にて何か課題がございましたらお気軽にご相談ください。
【お問い合わせ先】
本社:0265-82-3256
東京営業所:042-444-1287
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