電磁波を遮断!フィルムとめっきの違いとは?
電磁波を遮断するフィルム、めっき等のシールド材は、電子機器に欠かすことができない重要な技術です。
パソコンやスマートフォン、自動車(EV車)など、電子機器の発展に伴い、電磁波ノイズの対策の重要性はますます高まっています。対策が不十分な場合、外部から侵入したノイズの干渉により機器が誤作動を起こしたり、外部に発信した電磁波から情報が漏洩したりする危険があります。
このようなトラブルを引き起こす電磁波ノイズから電子機器を守るため、電磁波対策が重要であり、近年はめっきをはじめ様々な遮断方法があります。
電磁波を遮断する代表的なシールド材(方法) |
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上記は一例ではありますが、代表的なシールド材です。
電磁波を遮断する材料として最も適切なものは金属そのものですが、金属は重さがあるため、軽量化が求められる電子機器での使用には適しません。
このため、多くの電子機器では一般的にプラスチックを基材としたシールド材(方法)を使用しています。
今回のコラムでは、電磁波ノイズを遮断する代表的なシールド材の中から、電磁波シールド「フィルム」と「めっき技術」について解説します。それぞれの特徴をご理解いただき、ノイズ対策のご検討にお役立てください。
電磁波を遮断する「電磁波シールドフィルム」
電磁波シールドフィルムとは、電磁波ノイズを遮断する性質を持つフィルム状のシールド材です。
電磁波シールドフィルムは、プラスチックなど絶縁性材料を基材とし、片面または両面に金属フィラーを拡散させたものや、金属膜を蒸着させたものなど、メーカーによって様々な商品があります。
一般的には薄く、柔軟性を有するプラスチックを使用しているフィルムが多いため、屈曲性が高い点が特徴です。
電磁波シールドフィルムのメリットとデメリットは、以下の通りです。
メリット |
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デメリット |
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上記のメリットを活かして、電磁波シールドフィルムはスマートフォンのフレキシブル基板(FPC)のような、ノイズ対策と小型化・軽量化・省スペース対応が求められる機器に適用されています。
商品によって用途は異なりますが、スマートフォンや医療機器などのほか、建築物(窓等)にも使用できるタイプのフィルムもあります。
一方、フィルムは外部からの衝撃に対する耐久性は低く、大きな外力がかかる部材には使用できません。
電磁波シールドめっき
電磁波シールドめっきとは、めっき技術を利用した電磁波ノイズの対策方法です。
多くの製品で使用する部品は、軽量化のため金属ではなくプラスチックを採用しています。
プラスチックに対し、銅やニッケルなどの金属をめっきすることで、金属と同等の機能性を付与し、ノイズを遮断します。
一例を挙げると、プラスチック(ポリカーボネート)に無電解銅めっきを1μm、防錆として無電解ニッケルめっきを0.25μm付けた場合、アルミ板(厚み3mm)と同程度の遮断効果があります。
なお例に挙げた無電解ニッケルめっきについては下記にてご紹介しておりますので、あわせてご覧ください。
無電解ニッケルめっきの特徴と種類をわかりやすく解説
電磁波シールドめっきのメリット、デメリットは以下の通りです。
メリット |
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デメリット |
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金属と同等の機能性があるため、金属部品からの代替による軽量化、また軽量化によるエネルギー消費の改善、性能の向上などのメリットがあります。
また、特殊な機能を持つプラスチック(エンプラ、スーパーエンプラ)を使用すると、汎用性プラスチックでは不可能だった過酷な環境での使用も可能になります。
電磁波のノイズの遮断と同時に、エンプラやスーパーエンプラなどプラスチックの物性を活かすことができるため、用途の幅が広がる方法といえるでしょう。
めっきは数多くの電磁波対策の中でも「完成された技術」と呼ばれることもありますが、専用設備が必要であったり、薬品を使用するためコストが高い点はデメリットとして挙げられます。
また、めっきをするプラスチックにエンプラやスーパーエンプラを使用する場合、通常のめっきプロセスでは加工できないため、業者が限定されてしまう点もデメリットと言えるかもしれません。
当社塚田理研は、エンプラやスーパーエンプラなど特殊なプラスチック(難めっき材)へのめっきに対応しております。新素材へのめっきのご相談や試作にも対応しておりますので、特殊なプラスチックへの電磁波対策で課題がありましたらご相談ください。
電磁波を遮断するフィルムとめっきの違いとは
「電磁波を遮断するフィルムとめっきの違いとは何か」ということについて、ご質問をいただくことがあります。
両方とも金属の特性を活かし、電磁波を遮断する技術であり、部品を覆うという点では共通しています。
しかし、これまでご紹介してきたように、それぞれ特徴に違いがあり、用途も異なります。
電磁波シールドフィルムはシート状の形状をしており、屈曲が可能で曲面形状の部品にも適しています。こうした点を生かし、スマートフォンやディスプレイなどの小型・薄型な電子機器のフレキシブル基盤などに利用されています。
一方、電磁波シールドめっきは、複雑な形状でも均一な膜厚で金属皮膜を形成し、電磁波を遮断する技術です。
金属膜で覆われているため、電磁波の遮断以外にも、形成した金属の特性を活かした活用ができる点が特徴としてあります。(耐食性、耐熱性、耐摩耗性など)
フィルムとは異なり、曲げて使用する用途は一般的ではありませんが、金属の特性を活かせるため、自動車の車内部品など耐熱性や耐摩耗性などが求められる用途に適しています。
このように、特徴によって用途が異なる点は大きな違いと言えるでしょう。
部品がどのような環境で使われるのか、また遮断したい電磁波の周波数帯によっても最適な遮断方法は異なります。
遮断方法をご検討されていましたら、フィルムやめっきなどを取り扱っているメーカーに問い合わせをされることをおすすめいたします。
電磁波ノイズの対策や電磁波遮断フィルムについては塚田理研までお気軽にご相談ください
電磁波ノイズの対策や詳細につきましては、当社塚田理研までお気軽にご相談ください。
当社はプラスチックへの表面処理(めっき、塗装等)に特化した表面処理メーカーです。めっき事業では加飾めっきの他、機能めっきにも対応しており、電磁波シールド目的のめっきも多数実績がございます。
今回のコラムでは、電磁波を遮断する方法として、「フィルム」と「めっき」について解説しました。フィルムもめっきも、同じ「電磁波の遮断」を目的として使われている技術ですが、何に使用するかという点で大きな違いがあります。
電磁波の遮断技術については、製品の高性能化の加速に伴い、遮断したい電磁波ノイズも多様化しているため、適切な遮断方法の選択が重要です。
当社、塚田理研はお客様の用途やご要望をお伺いし、最適な遮断方法をご提案いたします。エンプラをはじめとした特殊なプラスチックへのめっき加工の実績も多数ありますので、新素材への試験や、試作品に関するご相談など、幅広く承ります。
電磁波ノイズ対策で課題がありましたら、下記窓口までお問い合わせください。
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