表面処理での電磁波ノイズ対策方法をご紹介します。
表面処理で電磁波のノイズ対策をするにはいくつかの選択肢があるのをご存知でしょうか。
電磁波とは電界と磁界が相互に作用しながら進むエネルギーの波のことで、様々な種類が存在します。今回は電子機器から発せられる電磁波ノイズの対策についてご紹介します。
私たちの身近な携帯電話やコンピューターといった電子機器からも電磁波は発生しています。これらは他の電子機器に本来の動作とは異なる動作を起こすノイズにもなり得ます。
電磁波ノイズによる周囲への影響を抑えるため、他の機器から発せられたノイズの干渉を防ぐために、対策は必須です。例えば医療機器には正確な診断や測定をするため、航空機は安全性を確保するために対策が必要とされています。
電磁波を遮断する素材として、金属は電磁波を反射したり吸収し抑えることができます。しかし、金属は重量やコスト等の観点からノイズ対策を行う場所全て金属を使うわけにはいきません。そこで一般的にはプラスチックを基材とし、ノイズ対策の加工をすることが多いです。
電磁波のノイズ対策方法についてはいくつか選択肢がありますが、今回は表面処理による対策方法についてご紹介していきたいと思います。
電磁波ノイズ対策ができる表面処理技術
電磁波ノイズ対策ができる表面処理にはどのような技術があるのかご紹介します。
表面処理とは素材の外面を目的に応じて加工し、耐久性や強度や機能向上させたり、見た目を美しくしたり高級感を持たせることです。例えば傘の撥水を良くするためにコーティングすることや、車を美しく見せたり耐久性を高めるためにボディの表面を加工するのも表面処理です。
今日では様々な場所で軽量化のためにプラスチックが使われていますが、プラスチックは電磁波を通してしまうため、ノイズの影響を受ける可能性がある場所で使われる部品には対策をする必要があります。
表面処理で電磁波ノイズの対策を行うこともできます。ここでは表面処理によるノイズ対策として代表的な、めっきと塗料による対策についてご紹介します。
1.導電性塗料
ひとつめの表面処理方法は導電性塗料による塗装です。
導電性塗料とは、フィラーと呼ばれる銀、銅、ニッケルといった金属の粉末を含んだ塗料で、絶縁体の素材に塗装し導電性を持たせることで、電磁波ノイズを防ぐことができるようになるという表面処理方法です。
塗料や塗装される物の種類・形状にもよりますが、スプレーやローラー等を使用して容易に塗装できる点や、コストが低くなりやすい点がメリットとして挙げられます。
一方で、塗布する素材の表面に付着するのみなので結合力が低くなることがあり、結果的に剥離や損傷が生じやすいというデメリットもあります。また均一に塗装するのが難しく、プラスチックの形状によってはムラができてしまう点もデメリットのひとつです。
2.電磁波シールドめっき
もうひとつの表面処理方法は電磁波シールドめっきです。
電磁波シールドめっきとは素材の表面を金属の皮膜で覆うことで、絶縁体の素材に電気伝導性を持たせることで、シールド効果が得られる表面処理方法です。
電磁波シールドめっきは特に高い電磁波シールド効果がある表面処理方法であることに加え、更に薄く均一にめっきでき、ノイズ対策だけでなく耐摩耗性や防錆性といった他の機能も得られるというメリットがあります。
この電磁波シールドめっきについては、この後詳しく解説いたします。
こちらの記事で塗料とめっき、それぞれの表面処理でのノイズ対策についてご紹介していますのでよろしければご覧ください。
電磁波の遮断は塗料かめっきか?シールド方法の違いについて塚田理研が解説
電磁波シールドめっきについて詳しく解説します
電磁波シールドめっきについて、更に詳しく解説します。
電磁波シールドめっきとは、めっき技術を利用したノイズ対策であり、多くの製品で使われています。
そもそもプラスチックめっきとはどのような表面処理方法で、どのような種類があるのかという点もご紹介していきたいと思います。特徴をご理解していただき、表面処理によるノイズ対策を検討する際のご参考にしていただければ幸いです。
また電磁波シールドめっきの採用を検討していたり、ご不明点やご質問等ございましたら、塚田理研までご連絡ください。
プラスチックめっきとは
プラスチックめっきとは、プラスチック表面を金属の皮膜で覆う表面処理方法のことを言います。プラスチックめっきを行うことにより、金属と比較し大きな軽量化をしながらも、金属のような高級感や機能を備え持つことができます。
プラスチックめっきは大別すると、外観を美しくしたり素材を守るために行う加飾めっきと、プラスチックが持たない機能(導電性や耐摩耗性)を与えるために行う機能めっきの2種類があります。
今回のテーマである電磁波シールドめっきは機能めっきのひとつです。絶縁体であるプラスチックの表面を金属の皮膜で覆うことで、金属の特性である電磁波シールドという機能を付与します。
電磁波シールドめっきのメリットデメリット
電磁波シールドめっきは薄くめっき膜をつけるだけでも高いシールド効果があります。例えば、プラスチックに無電解めっき(無電解銅1μm+無電解ニッケル0.25μm)をすることで、アルミニウム(3mmのプレート)と同等の遮断効果が得られます。
今日では自動車や航空機には多くの電子部品や電子システムが採用されることが増えてきており、それに伴い発生する電磁波ノイズを抑制したり、電子部品や電子システムを外部から守るために、電磁波シールドの必要性も高まっています。
電磁波シールドめっきは、金属製の部品からプラスチックに置き換えることで大きく軽量化ができるため、自動車や航空機の燃費を下げられることに加え、耐摩耗性や放熱作用といった機能を付与することもできます。
またプラスチックめっきをする際にも行われる無電解めっきは、複雑な形状の素材にも均一な膜厚でめっきできます。
一方で、薬品を使用するため、コストが高くなりやすい、加工のプロセスが複雑で専用の設備や知識が必要というデメリットが挙げられる表面処理方法でもあります。しかし私たち塚田理研は、様々なニーズに対応できる設備と、蓄積されたノウハウと高い技術力・研究力があります。
なお樹脂めっき加工につきましては下記記事でも詳しく解説しております。
樹脂めっき加工のメリット・デメリットや種類についてはこちら
表面処理(めっき)・電磁波ノイズ対策のご相談は塚田理研まで!
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塚田理研は充実しためっきの設備、高い技術力・研究開発力、長年蓄積されたノウハウ・実績があり、お客様の様々な相談に柔軟に対応できる対応力や生産力があります。
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