無電解ニッケルめっきの色はどんな色調?めっきの特徴も解説します
無電解ニッケルめっきの色について、ご質問を頂く事があります。
- 色が製品の印象に合うかどうか知りたい
- 既製品に処理されためっきの種類を色で判別したい
色に関するお問い合わせはお客様によって様々です。
その中でも「無電解ニッケルめっきの色はどんな色?」という質問はよく寄せられます。
無電解ニッケルめっきはプラスチックめっきに必要不可欠な工程ですが、その他のめっきの色合いとどのような違いがあるのでしょうか。
今回は多くの方からご質問を頂く「無電解ニッケルめっきの色」について、また無電解ニッケルめっき以外のめっきの色の違いや、判別方法について解説します。
また、無電解ニッケルめっきの特徴や用途などの概要についても詳しく説明します。
無電解ニッケルめっきとは?
無電解ニッケルめっきとは、無電解めっきでニッケル皮膜を析出させる処理のことです。
無電解めっきとは電気を使わずに、めっき液中の化学的還元作用を利用して金属皮膜を生成する技術です。
無電解ニッケルめっきはこの無電解めっきの技術でニッケル皮膜を生成するものです。
無電解ニッケルめっきは無電解めっきの中でもよく使われる代表的な種類ですが、ニッケルの他にも、スズや金、銀、銅などの無電解めっき処理の工程が存在します。
ここでは、無電解ニッケルめっきの特徴やメリット・デメリット、加工できる素材や、用途についても詳しく解説します。
特徴
無電解ニッケルめっきは以下の特徴があります。
- 硬度、耐食性、耐摩耗性、はんだ付け性が良好
- 均一な膜厚でムラなくめっきができ、厚付けも可能
- 形状問わず、めっきができる
- 非金属(プラスチックやセラミック)にもめっきができる
- 還元剤(リン・ホウ素等)によって性質が異なる
電気を使用しないで処理をする点が、電気めっきとの大きく異なるところです。
金属だけでなく、プラスチック素材にもめっきできることから、無電解ニッケルめっきは電気めっきの前処理(下地)として利用できます。
また、プラスチックに金属と変わらない機能(導電性、耐摩耗性、耐食性、硬度等)を付与できるメリットから、無電解ニッケルめっきは幅広い分野で使われています。
電流分布の影響がないため、複雑な形状のものでも均一な膜厚でめっきでき、更に寸法精度も維持できる点も大きなメリットです。
また、電気めっきと比べてめっき析出速度に時間がかかる点も特徴のひとつです。
加工可能な素材
無電解ニッケルめっきが可能な素材は以下の通りです。
• プラスチック
強度や耐摩耗性の低さをカバーする目的や電気めっきの下地として利用されます。
それにより軽量で、丈夫なパーツが作れるので、軽量化が進む自動車分野などで需要が高まっています。
• 鉄鋼
鉄の欠点である、耐食性の低さをカバーする目的などで利用されます。
耐食性のある高価なステンレスより、安価なコストである点がメリットとしてあります。
• ステンレス
はんだ付け性の改善、表面に傷が付きやすいので、硬度の改善などのために利用されます。
• 銅
強度や耐摩耗性、耐食性などを高めるために利用されます。
その際、前処理が必要となるので、その分の時間とコストを考慮する必要があります。
• アルミ合金
強度や耐摩耗性、耐食性などを高めるために利用されます。
※弊社、塚田理研はプラスチックめっきを専門としているため、金属めっきには対応いたしておりません。
金属以外で対応可能な素材につきましては、弊社までお問い合わせください。
無電解ニッケルめっきの用途
無電解ニッケルめっきは、自動車産業、航空・船舶産業や精密機器産業、ケミカル産業など、幅広い分野で使われており、下記のように用途も様々です。
自動車産業・・・エンジン部品、ピストン、ベアリング、車載部品 等
エレクトロニクス産業・・・電子部品、コンピューター部品、半導体部品
精密機器産業・・・TV部品、時計部品、カメラ部品
航空、船舶産業・・・航空機部品、エンジン部品、スクリュー部品
ケミカル産業・・・バルブ類、パイプ内部、ポンプ
弊社はプラスチック部品へのめっきを行っており、自動車関連、住宅機器関連をはじめ、様々な分野で実績がございます。
■塚田理研のプラスチックめっきの実績(一部抜粋)
自動車関連 | 車載部品(装飾めっき、電磁波シールドや帯電防止を目的とした機能めっき) |
住宅機器関連 | 水栓部品(装飾)、エアコン部品等 |
エレクトロニクス関連 | コネクター部品、プリント配線基板等 |
鉄道関連 | 新幹線部品、鉄道部品等 |
その他 | 釣具(リール部品)、ボタン、美容機器、アクセサリー等 |
※一部の実績となります。
プラスチックへのめっきであれば、上記以外の用途にも対応いたしております。
お客様の用途に合わせて最適なめっきをご提案いたしますので、お気軽にお問い合わせください。
無電解ニッケルめっきの色と判別方法について
無電解ニッケルめっきの色と、他のめっきとの判別方法についてご紹介します。
めっきの色は、製品のビジュアルに影響があるため、用途や目的によって重要なポイントです。
そのため、無電解ニッケルめっきの色と、他の金属の色の違いを知っておきたいところです。
無電解ニッケルめっきの色は、黄色みを感じられるシルバーです。
ここでは、その他のめっき「クロムめっき」の色の違いや、色が似ている電気ニッケルめっきとの判別法、そして黒色の無電解ニッケルめっきについてご紹介します。
クロムめっきとの違い
クロムめっきは硬度と耐食性が高く、一般的によく使われています。
クロムめっきの色は、青白さを感じるシルバー色をしています。
水道の蛇口などでよく使われているのでイメージしやすいかもしれません。
人によって受ける印象は異なりますが、無電解ニッケルめっきの色と比べると、青みがかった色をしているので、金属らしい冷たい色の印象がクロムめっきにはあるかもしれません。
クロムめっきの代わりに利用されることもある無電解ニッケルめっきですが、このように、寒色系と暖色系の色で、違いは明確に判別できます。
電気ニッケルめっきとの判別方法
無電解ニッケルめっきと電気ニッケルめっきは、前者がニッケル合金に対して、後者が高純度のニッケルであり、皮膜の特性や工法は異なるものの、実は仕上がりの色はとてもよく似ています。
このような場合、下記のような判別方法があります。
- 硝酸を一滴垂らして表面の色の変化を見る方法(※注)
- めっきの厚みをマイクロメーターなどで測定する方法
薬品(硝酸)を使用する場合、薬品を垂らした部分が墨のような黒色に変わったら無電解ニッケルめっきです。
一方、電気ニッケルめっきの場合はねずみ色に色が変わります。
薬品を使用するこの方法はすぐに判別することができますが、検査対象の製品の色が検査によって変色してしまうので注意が必要です。
(※注)硝酸は6類の危険物です。有害性が高く、非常に危険な薬品のため、個人では取り扱わず、表面処理会社にご相談ください。
もうひとつの判別方法として、マイクロメーターを使用する方法があります。
めっきの厚みが均一なものの場合が無電解ニッケルめっきで、そうではない方が電気ニッケルめっきです。
このように、薬品を使う方法と道具を使って判別する方法があります。
どちらのめっきなのか判別が必要でしたら、ご要望に応じた検査方法にて判別いたしますので、お問い合わせください。
無電解ニッケルめっきには黒色もある
無電解ニッケルめっきには、金属そのままのカラーではなく黒色もあります。
黒色の無電解ニッケルめっきは、無電解ニッケルめっきの表面を黒くさせる処理(黒化処理)を行うものです。
無電解ニッケルめっきの特徴を持ち、デザイン性・機能性を持たせることができます。
一般的に意匠性の高い製品や、光の反射防止などの機能が求められる部品に処理します。
これまで黒色めっきとして合金めっきを取り扱ってきましたが、耐食性や指紋性が悪く、自動車部品として使用する事は困難なため、弊社では対応しておりません。
黒色の無電解ニッケルめっきの弱点をカバーした、耐食性、意匠性に優れた電解の漆黒めっきを提供しております。
詳細につきましては、弊社までお気軽にお問い合わせください。
塚田理研はプラスチックめっきの専門会社です
塚田理研は、プラスチックめっきを専門とした表面処理会社です。
プラスチックめっきのパイオニアとしてこれまで多くの実績を積み重ね、新技術の開発に注力しております。
今回は無電解ニッケルめっきの色についてご紹介しました。
金属そのままの色合いですと黄褐色のシルバーですが、弊社ではお客様のご要望に合わせて、電気めっき、イオンプレーティングによって様々な色調に加工する事が可能です。
基本加飾56色のほか、トレンドカラーにも随時取り入れておりますので、豊富なカラーバリエーションをご用意しております。
ニッケルの色以外の選択肢が豊富にございますので、色について課題を感じられていましたら、お気軽にご相談ください。
色調をご確認いただける見本(サンプル帳)をご用意しています
弊社では、電気めっきやイオンプレーティングの色調をホームページの他、実際の色合い全56パターンを確認できるサンプル帳をご用意しております。(1冊 20,000円)
このサンプル帳には、実際の色調が確認できるサンプルが収録されており、色や工法による表面仕上がりの差をご覧いただけます。
サンプルのバラ売りもしておりますので、御入用でしたらお問い合わせください。
塗装や描画でデザイン性の高い装飾も承ります
その他の装飾として、弊社では塗装も承っております。
めっきメーカーだからこそ可能な安定した品質で、めっき上への塗装や印刷を行っております。
部分塗装も多く手掛けており、めっきの魅力をしっかりと残しつつ、意匠性の高い塗装や特殊印刷にも対応可能です。
高いデザイン性の製品の表面処理のご相談も承りますので、是非お気軽にお問い合わせください。
弊社のスタッフが丁寧にお伺いし、最適な手法をご提案いたします。
プラスチックへのめっきのことならお気軽にお問い合わせください
プラスチックめっきは弊社、塚田理研にお任せください。
今回は無電解ニッケルめっきの色をテーマに、無電解ニッケルめっきの概要や色、色の違いなどをご紹介しました。
無電解ニッケルめっきはプラスチックに導電性を持たせることができるため、電気めっきの前処理に必須の工程です。
弊社では、無電解ニッケルめっきをはじめとした様々なプラスチック素材への表面処理のご相談を承ります。
「プラスチックに機能性を持たせたい!」
「こんな色に仕上げたい!」
「こんなものにめっきしたいけど、できる?」
このようなご相談も大歓迎です!
お客様のご要望に応える最適な表面処理方法をご提案いたしますので、お気軽にお問い合わせください。
お問合せについて
下記のお電話、またはお問合せフォームより、お気軽にお問合せください。
本社:0265-82-3256
東京営業所:042-444-1287
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