無電解ニッケルめっきが剥がれる原因とは?
無電解ニッケルめっきが剥がれる原因について解説します。
無電解ニッケルめっきは様々な用途で使われている技術です。
プラスチックめっきでは、電気めっきの下地として使われるほか、電磁波シールドめっきで使われる無電解銅めっきの上に重ねるめっきなどの用途として使われております。
当社では製品にめっきの「剥がれ」が起こらないようにするため、高い技術力を駆使して前処理やめっきを行い、万全の検査体制を整えております。
ですが、安全性や製品の信頼性に影響を与える「剥がれ」や「密着不良」はお客様にとって関心の高いトラブルです。
プラスチックへのめっきでの「剥がれ」は、めっき不良である場合と、経年劣化によって起こる場合など、様々な原因があります。
発生した製品によって原因が異なるため、「なぜ剥がれるのか」ということをお伝えするのは難しいですが、一般的に考えられる無電解ニッケルめっきが剥がれる原因や対策について、プラスチックめっきの塚田理研が解説いたします。
無電解ニッケルめっきの原理や特性について
無電解ニッケルめっきは、ニッケルめっきの一種で、電気を使わずに化学的反応を利用してニッケルを析出させる技術です。
無電解ニッケルめっきの最大の特徴は、膜厚の均一性と、金属だけでなく絶縁体にもめっきができる点です。
プラスチックにもめっきができるため、無電解ニッケルめっきは電気めっきの下地としても活用されています。
無電解ニッケルめっきの詳しい原理や特性について、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
是非ご覧ください。
無電解ニッケルめっきが剥がれた!一般的な不具合の原因とは
無電解ニッケルめっきが剥がれた場合、どのような原因が考えられるのでしょうか。
●前処理が充分にされていない
無電解ニッケルめっきが剥がれる主な原因としては、前処理が充分に行えていないことが挙げられます。
無電解ニッケルめっきの前処理は以下の工程で行われます。
1.脱脂
2.酸洗(エッチング)
3.(銅合金やプラスチックのみ)触媒の付与、活性化
4.無電解ニッケルめっき
無電解ニッケルめっきに限らず、素地の表面に汚れなど異物が付着しているとめっきの密着性は低下します。
(素地が金属の場合、汚れだけでなく酸化被膜、錆も密着性の低下につながります。)
そのため、通常は前処理の脱脂洗浄や酸洗浄などの前処理により不純物をしっかりと除去します。
ですが、洗浄が不十分であると、表面に汚れが残ってしまい密着性が低下し、剥がれの原因になります。
●エッチング不足
また、プラスチックめっきの密着性にはエッチングが深く関わっており、エッチングが不足(または過剰)すると、密着性が悪くなり剥がれの原因になります。
また、めっき前の素材によってエッチングが困難な場合があります。
プラスチックめっきの場合、エンプラやスーパーエンプラなどの特殊なプラスチックの場合は、通常の工法では充分なエッチングを行うことができないため、密着度の高いめっきが難しいとされています。
このため、エンプラやスーパーエンプラは通常の設備が使用できないため「難めっき材」と呼ばれており、対応できるめっき会社は限られています。
●めっき液の管理不足
めっき液の管理不良も剥がれの原因として挙げられます。
無電解ニッケルめっきは化学反応により成膜されるため、液組成やpH、温度などが変動すると密着性にも影響を及ぼします。
したがって、めっき液が充分に管理されていないと成膜に不具合が生じてしまい、剥がれの原因になります。
前処理による不具合の他にも、製品の管理によって無電解ニッケルめっきが剥がれることもあります。
●素材の状態がめっきに適していない
めっきプロセスで考えられる原因の他にも、「素材の状態」が剥がれなどの密着不良の原因になるケースもあります。
材質問わず、めっきをする製品全てに共通する原因として、めっきの前の加工で付着した汚れが挙げられます。
汚れが付着した状態だと、アンカー形成ができず密着不良の原因となる場合があります。
めっきの前処理で洗浄は行われますが、強力な洗浄ではないため、離型剤や油脂(切削油など)、大きな錆、バフ研磨剤などの汚れを完全に除去する事は困難です。
また、プラスチックにめっきする場合、プラスチックが吸水している状態だと、前処理で熱が加わった際に表層が膨れてしまい、膨れや剥がれの原因となります。
水分は大気中に存在するため、成形前のペレットはもちろん、成形後にも適切な取り扱いをすることが重要です。
更に、成形条件がめっきに適さない場合もトラブルの原因となるため、成形条件をめっき会社に確認をすることをおすすめします。
量産する場合は、同じ形状の製品でも場所によって密着の度合いが異なるため、金型の設計段階でめっきに適しているかどうか、検討をすることも重要です。
このように、めっきの前の工程や素材の管理状態が、無電解ニッケルめっきの剥がれの原因となる場合もあります。
剥がれ等の不具合の対策
剥がれ等、めっき製品の不良を防ぐためには、以下の対策が重要です。
- 適した前処理(脱脂・エッチング)の実施
- めっき液の管理
めっきをする素材が金属、プラスチックに関わらず、前処理が重要です。
プラスチックめっきの場合、素材に対して適切なエッチング処理が行われているかどうか、という点も重要です。
また、めっき液の管理も不具合の対策になります。
不具合の原因でも述べた通り、無電解ニッケルめっきは化学反応を利用するため、めっき液への異物混入や処理時の組成変動などが、皮膜の品質や密着性に大きく影響を及ぼします。
更に、不良が発見された場合に、原因が究明できる検査体制も重要です。
素地が十分に洗浄されているのか、めっき液の温度や組成などに問題がないかなど、検査によって原因を明らかにし、対策をとるようにします。
更に、前述した通り、剥がれの原因はめっき工程だけでなく、めっき前の工程の場合もあります。
そのため、めっきする製品に加工時の汚れが付着していないか、めっきに適している形状かどうかという「素材の状態」も対策として大切なポイントです。
プラスチックめっきの場合は、成形品やペレットが吸水しないよう、適切な取り扱いや管理を行う事も重要な対策です。
塚田理研の高品質な無電解ニッケルめっきを提供いたします
当社、塚田理研はプラスチック専門のめっき会社です。
今回のコラムでは、無電解ニッケルめっきが剥がれについてご紹介しました。
剥がれの原因は複数あり、その製品や状況によって異なります。
剥がれや膨れなど、めっきの密着不良は製品の信頼度を下げるため、確実に防ぎたい現象です。
当社は1963年に創立したプラスチックめっきメーカーで、長年様々なプラスチック製品にめっき・塗装を行い、経験を積み重ね、その時代に求められる技術を開発してまいりました。
高品質なめっき技術の提供のために、最新の分析機器や装置、試験機などを導入し、徹底した品質管理体制を整えております。
また、品質だけでなく、全工程をコンピューターによって管理しているため、入荷から出荷までの間の製品の動きを把握しております。
当社独自の生産管理システムによって、複雑なめっき条件も全てデータベース化しており「製品がいつ、どのような条件で加工されたか」という履歴のトラッキングも行えます。
このため、万が一不良が発生した場合でも迅速に原因を究明し、めっき不良(剥がれや膨れなど)の対策をとることができます。
このような徹底的な管理体制により、工程内での不良をゼロにすることを追求し、お客様から信頼され続けるめっき会社であるよう、目指しております。
プラスチックめっきで剥がれなどの不良で課題がありましたら、是非当社にご相談ください。
用途などに最適なめっき方法をご提案し、高品質なめっき技術を提供いたします。
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