無電解ニッケルめっきの価格は高い?金額の理由や基礎知識を解説
無電解ニッケルめっきの価格について、「どうして他のめっきより高いの?」とご質問を頂く事があります。
無電解ニッケルめっきは確かに、電気ニッケルめっきよりも高額なので不思議に感じられたようです。
このような疑問を感じたお客様は多いのではないでしょうか。
無電解ニッケルめっきは様々な特徴やメリットがあるため、導入を検討されるお客様は多いと思います。
今回は、無電解ニッケルめっきに関する基礎知識や価格が高くなる理由について、同じニッケルめっきである電気ニッケルめっきと比較しながら、分かりやすく解説していきます。
無電解ニッケルめっきとは
無電解ニッケルめっきの価格が高い理由についてご理解いただくために、無電解ニッケルめっきの基本的な知識をご紹介しましょう。
冒頭でも説明した通り、無電解ニッケルめっきには様々な特徴とメリットがあります。
代表的な特徴として、耐食性や耐薬品性、耐摩耗性に優れ、組成によっては非磁性であることが挙げられます。
こうした特性から、耐食性と耐摩耗性が求められる自動車の油圧ブレーキやシリンダー、耐薬品性が求められる化学反応槽、非磁性が求められるハードディスク基板などの様々な分野に応用されています。
EV車や高性能機器では、製品の軽量化とコスト削減を目的に金属からプラスチックへの置き換えが進んでおり、ここでも無電解ニッケルめっきが多く使われています。
無電解ニッケルめっきの基本的な仕組みと電気ニッケルめっきとの違いについて、更に詳しくご紹介しましょう。
無電解ニッケルめっきの基本的な仕組み
無電解ニッケルめっきは、化学反応を利用することで対象物に成膜する無電解めっきの一種です。
ニッケルの場合、めっき液に含まれている薬品(還元剤など)の酸化還元反応によって、被めっき物の表面にニッケル皮膜が形成されます。
電気を使わないめっき技術なので、プラスチックのような絶縁体にも加工できます。
プラスチックの場合、絶縁体のため、通常の電気めっきができないので、電気めっきの下地として利用するケースが多いです。
プラスチックの場合、素材表面を脱脂(洗浄)し、エッチングによって表面を粗化し、触媒(パラジウム)の付与・活性化の後に無電解ニッケルめっきを施します。
薬品を使って加工をするため、めっき液には寿命があります。
安定した加工をするために、無電解めっきには厳重なめっき液の管理が求められます。
無電解ニッケルめっきと電気ニッケルめっきの違い
同じニッケルめっきとして比較される技術に、電気ニッケルめっきがあります。
このふたつの技術のもっとも大きな違いは、成膜に電気を使用しているかどうかです。
無電解ニッケルめっきは還元剤を用いた酸化還元反応によりめっき被膜を形成するのに対して、電気ニッケルめっきは外部から電流を流して成膜します。
また、この成膜の方法の違いによって、仕上がりや加工可能な素材も異なります。
電気ニッケルめっき | 無電解ニッケルめっき | |
膜厚 | 電流の影響を受けるため、ムラがある。 また、複雑な形状へのめっきはつきにくい。 (形状によっては無めっきになることもある) |
均一な膜厚でめっきが可能 |
素材 | 導電性のある素材 | 導電性のある素材も絶縁体にも可能 |
金属の成分 | ニッケル | ニッケル-リン合金 |
無電解ニッケルめっきと電気めっきの違いに関して、こちらの記事で詳しくご紹介しています。
こちらも是非、ご覧ください。
無電解ニッケルめっきの価格は高い?その理由とは
無電解ニッケルめっきの価格についてご説明いたします。
一般的に、めっきの価格は使用する金属や薬品などの材料費、処理・分析装置などの設備費、作業者の人件費、廃液処理などその他発生する費用などの様々な要素によって決まります。
無電解ニッケルめっきも例外ではなく、上記要素が含まれるため価格は決して安価ではありません。
ここでは、無電解ニッケルめっきの価格が高い理由と電気ニッケルめっきとの価格の違いについて解説していきます。
価格が高い理由について
無電解ニッケルめっきの価格が高い大きな理由の一つが、めっき液の管理コストになります。
基本的な仕組みでも説明した通り、無電解ニッケルめっきは還元剤などの薬品を用いた酸化還元反応により加工をします。
そのため、めっき液の組成やpHなどが変動すると、安定した皮膜を得ることができません。
また、めっき時の反応副生成物がめっき液に蓄積することで、皮膜の形成速度や品質に影響を及ぼしてしまいます。
したがって、常にめっき液の状態を分析したり、頻繁に交換することで、液の品質を一定に保つことが重要です。
このように、めっき液を管理するためのコストが非常に多くかかるため、価格が高くなります。
更に、薬品自体が高価です。
化学反応によりめっきをするため、不純物の影響を受けやすく、薬品の原料や水についても高純度のものを使用します。
めっきメーカーで使用する際も純水を用いるため、そういったコストも乗ってきます。
電気ニッケルめっきとの違いとは
同じニッケルめっきであっても、電気ニッケルめっきは無電解ニッケルめっきよりも安い価格の場合がほとんどです。
電気ニッケルめっきでは電気を利用して成膜するので、無電解ニッケルめっきと比べて使用する薬品数が少ないという点が大きな理由として挙げられます。
また、電気ニッケルめっきはめっき液の変化が少ないので管理が比較的容易であり、交換頻度も無電解ニッケルめっきよりも多くないため、めっき液の管理コストがそれほどかかりません。
めっきするのに必要な薬品の数、そして管理コストによって、電気ニッケルめっきの方が安価であると言えます。
無電解ニッケルめっきで価格が下がるケースも
無電解ニッケルめっきは高価な処理ですが、導入することでコスト削減につながる場合があります。
例えば、無電解ニッケルめっきを処理すると耐食性が向上するため、製品の寿命を延ばすことができます。
製品寿命が延びると交換頻度を減らすことができますので、長い目で見たときに必要な価格を削減することができます。
また、無電解ニッケルめっきにより、これまで金属を使用していた部品をプラスチックに置き換えることが可能となり、軽量化とコスト削減を達成できたケースもあります。
複雑な形状にも化学反応で均一にめっきできるので、一度にめっきできる製品の数を多くすることで加工費を低減することもできます。
このように、導入により得られる大きなメリットもあります。
当社では、部品等の素材を金属からプラスチックへ変更されるお客様に向けて、試作にも対応いたしております。
プラスチックへのめっきをご検討されていましたら、お気軽にご相談ください。
無電解ニッケルめっきの発注時のポイント
無電解ニッケルめっきを発注する際には、いくつかのポイントがあります。
まず、めっきプロセスが自動化されているかどうか、という点は価格に大きな影響があるため、重要なポイントと言えるでしょう。
省人化が進んでいることから価格が抑えられるメリットだけでなく、ヒューマンエラーが防げるため、不良率の低下にも期待できます。
また、無電解ニッケルめっきはもちろん、めっきをする素材への知識があり、表面処理の実績や経験が豊富な加工業者に依頼すると良いでしょう。
当社、塚田理研はプラスチック専門のめっきメーカーで、創業1963年以来、様々なプラスチック素材に高品質なめっき加工をしてきた実績があります。
お客様の多種多様なご要望にお応えし、意匠性の高いめっき技術や塗装、そして電磁波シールドやプリント基板等への機能めっきなどに対応いたしております。
当社ではコンピューターによる生産管理システムを導入しており、加工の流れを全て管理しているほか、めっきラインでは全自動プラスチックめっき装置を完備しております。
このため、価格面のメリットだけでなく、安定した品質、短い納期での生産が可能です。
更に、検査体制にも力を入れており、最新の製品測定や分析機器を使用し、熟練の検査員が品質を確認しています。
プラスチックめっきのパイオニアとして、お客様に「塚田理研に依頼して良かった!」とご満足いただけるよう、信頼して頂ける高品質な加工技術の提供をいたしております。
プラスチックへのめっきで、お困りになる事がありましたらお気軽にご相談ください!
プラスチックへの無電解ニッケルめっきは塚田理研にお任せください
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難めっき材であるエンプラ、スーパーエンプラへのめっきにも対応している他、また新素材への試作もご相談頂けます。
当社はプラスチックめっきの業界トップメーカーとして、お客様の多岐にわたるニーズに応えるべく、日々新技術の開発とサービスの向上に努めております。
無電解ニッケルめっきの価格につきましても、ご依頼の内容やご要望をお伺いし、最良のご提案をいたします。
お客様の製品価値を高めるためのパートナーとして、当社の専門的な知識と経験を活かし、お客様のご要望にお応えいたします。
プラスチックへの無電解ニッケルめっきの技術的な面や価格の事でお悩みでしたら、是非一度ご相談ください。
本社:0265-82-3256
東京営業所:042-444-1287
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