フレームグランドのノイズ対策について
フレームグランドはノイズ対策として定番の存在といえます。ひと昔前、フレームグランドは電子機器などのケースとして使われてきましたが、最近は電子機器の高性能化に伴い、単なるケースではなく、電磁波シールド効果のあるものが一般的に使われています。
シールド効果を持たせたいだけであれば金属製のフレームグランドで十分ですが、近年は製品の軽量化や放熱対策など、フレームグランドにも様々な機能が要求されています。
このコラムではフレームグランドをテーマに、フレームグランドの基本的な情報や、設計する際の注意点、そして様々なニーズに応える当社の技術「シールドめっき」について、プラスチックめっきの塚田理研が解説いたします。ぜひご覧ください。
グランドやフレームグランドとは
グランドやフレームグランドについて、簡潔にご紹介しましょう。
●グランド
グランドは電子回路内で、全ての電位を均一に保つ役割を果たします。グランドによって、回路内の各部品間での電圧差がコントロールされ、安定した回路動作を保持できます。
しかし、グランドの設計が不適切だとノイズが増加することがあります。そのため、効果的なノイズ低減と回路の安定性を保つためには、グランドの設計に細心の注意を払う必要があります。
分野によっては、グランドとアース(大地接点)と同じ使われ方をする場合もありますが、電子回路においては異なる存在です。具体的には、アースは主に安全を目的としており、過剰な電流を地球に逃がす役割を持ちますが、グランドは回路内の電位を統一することで全体の機能を支えるものです。
●フレームグランド
一般的に、フレームグランドは金属製の筐体そのものや、電子機器の構造的な部分を接地することを指します。
ひと昔前は主に電子機器のケース(物理的な保護)の役割でしたが、現代ではデバイスの高機能化に伴い、ノイズ対策のために、導電性のある材料でフレームグランドを設計することが一般的です。シールド効果を向上させて内部の電子部品を外部ノイズから守る役割も担っています。
フレームグランドのノイズ対策について
フレームグランドのノイズ対策についてご紹介します。
金属製のフレームグランドは導電性があるため一般的にノイズ対策としては有効ですが、設計によっては放射したノイズが漏れることがあり、また、形状によっては意図せずノイズの発生源になる場合もあります。このため、設計時には以下の点に注意が必要です。
- 金属同士がしっかりと接触していることを確認する。
- 放熱対策のために穴やスリットを設ける場合は、それがノイズの発生源にならないよう設計に配慮する。
さらに、フレームグランドには導電性が高い素材の選択が望ましいです。
しかし、金属の使用は製品の重量を増加させることがあるため、軽量化が求められる現代の製品においては大きな課題となります。
この課題に対処するための解決策のひとつがシールドめっきです。
シールドめっきは、プラスチックにめっきを施すことによってプラスチックにシールド効果を付与する技術です。それだけでなく、プラスチックは金属よりも軽いのでフレームグランドの軽量化が可能となります。
高いシールド効果、そして軽量化の両立を実現する技術として、シールドめっきはニーズが高まり注目されている技術なのです。
めっきでフレームグランドのノイズ対策(EMC対策)・軽量化を実現
めっきはフレームグランドのノイズ対策、そして軽量化の両立が可能な技術です。
塚田理研はプラスチックへのめっきを専門としためっきメーカーで、これまで加飾目的のめっきの他、プラスチックへの機能の付与を目的とした機能めっき技術を提供しております。
ノイズ対策としてのシールドめっきにも対応しており、これまで多数の実績がございます。
フレームグランドにおいては当社のシールドめっき技術を活用し、フレームグランドの樹脂化を実現しております。
【事例】ICパッケージのフレームグランド(PC/ABS素材のネジ止めケース)
シールドめっきは無電解めっきにて処理するため、複雑な形状をしていても均一な膜厚でめっきをつけることができます。薄い膜厚で成膜できるため、寸法精度が要求される部品にも適している点もメリットのひとつです。
また、銅を電気めっきすることで放熱性が得られるほか、金属からの素材変更による軽量化など、めっきはノイズ対策以外にも多くのメリットがあります。
近年、ノイズ対策と軽量化の需要が高まり、当社にも多くのご相談をいただいております。ここでは当社が提供するシールドめっきの効果やメリットについてご紹介します。
アルミと同等の高いシールド効果
シールドめっきは薄い膜厚で高いシールド効果をプラスチックに与えることができます。
例えば、ノイズ対策としてプラスチックの両面にシールドめっき(銅2μm+ニッケル0.25μm)を施した場合、シールド効果は3mmのアルミに匹敵する高いシールド効果が得られます。
以下は当社で電磁波シールドの効果を測定し、金属と比較したものとなります。(測定機器:KEC法)
●電界(100kHz-1GHz)
●磁界(100kHz-1GHz)
●電磁界(1GHz-6GHz)
このように、シールドめっきによって、金属と同等のシールド効果が得られます。
軽量化・コスト低減・工数低減を実現
フレームグランドの素材を金属からシールドめっきを施したプラスチックに置き換えることで、ノイズ対策の他にもメリットがある点もシールドめっきの魅力です。
樹脂化×シールドめっきのメリット
- 軽量化
- コスト低減
- 工数低減
最初に挙げられるのは軽量化です。金属と比較すると、プラスチックは非常に軽いので、フレームグランドなどの部品を樹脂化させることで製品の軽量化を図ることができます。
さらに、射出成形で作るので、複雑な形状であっても金属加工よりも工数・コストの低減が実現できる可能性があります。また、シールドめっきは生産性が高い加工のため、短期間で加工ができる点もメリットのひとつです。
フレームグランドのノイズ対策は塚田理研にご相談ください
フレームグランドのノイズ対策としてめっきをご検討されていましたら、ぜひ塚田理研にご相談ください。当社は電磁波ノイズから製品を守るめっき技術を提供しております。
今回は、フレームグランドのノイズ対策の基本的なポイントについて解説するとともに、製品の軽量化とシールド効果を実現するめっきについてご紹介しました。
一般的にフレームグランドはアルミなどの金属が使用されますが、軽量な樹脂に薄くシールドめっきを施したものに置き換えることで、アルミの同等のシールド効果を持ち、とても軽いフレームグランドの製造が可能です。
当社にはノイズ対策に関するお客様の様々なご相談に対応できる専門チームもございますので、ノイズ対策、軽量化などで課題がありましたらお気軽にご相談ください。
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